ホモ牛乳

下品なことを言う係です

サーカス団がやってきた

----------【道化師は笑う】----------
サーカス開園前、道化師はテントの前で宣伝をしていました。
風船を配りながらジャグリングに玉乗り、パントマイム。
笑顔を貼り付けた道化師に近寄るのはまだ幼い少年でした。
「風船ひとつください」
道化師は赤い風船を一つ少年に渡しました。
「パパはお空のうえにいるんだって。届くといいなぁ」
そういうと少年は、3秒ほど目をつぶった後に手を離しました。
赤い風船がゆっくりと空に向って昇っていきます。
「せっかくもらったのにごめんなさい」
道化師は満面の笑顔で少年の頭をなでました。

----------【ナイフ投げ師は外さない】----------
サーカス開園前、ナイフ投げ師は練習をしていました。
人の頭に乗せたリンゴにナイフを投げて見事に命中させました。
「さすが百発百中だな。お前だから安心してリンゴを被れるよ」
「当たり前さ。ハズしたらオレは廃業だ」
「そういや知ってるかい? 今日の公演でルーがやるってよ」
「やる? なにをだ?」
「ヘレンにプロポーズ」
「なにっ?!」
動揺したナイフ投げ師は手元が狂いました。
ナイフはあさっての方向に飛んでいってしまいました。
「わははは! 廃業だな」
「ぬ、ぬぅ」
ナイフ投げ師はヘレンのことが好きだったのです。
好きな人のことになると動揺する。ナイフ投げ師だって人間なんです。
それでも彼があさっての方向へ投げたナイフは、巨木に刺さりました。
リンゴのような真っ赤な風船の紐を貫き、巨木に貼り付けながら。

----------【アクロバットは華麗に決まる】----------
サーカス開園前、アクロバットの打ち合わせが行われました。
担当のマルコが言いました。普通じゃあつまらないよね。
「それじゃあここは後方二回宙返り一回ひねりでいこう」
「ダメだ。弱いよ。前方抱えこみ後方三回宙返り一回ひねりでいこう」
「お客さんを退屈させる気か? 前方抱えこみ伸身五回宙返り六回ひねりだな」
「新鮮さが足りない。前方抱え込み伸身百回宙返り大開脚間接はずし1/5ひねり大爆発」
「いや。後方えび反り抱え込み三千世界宙返り上下分離すねこすり那由他ひねり」
「全方向抱え込み亜空間跳び込み前転鼻フックなぞかけ先祖返り一回転腋毛自慢」
「全世界敵に回しても君は僕が守ると約束破り往復ビンタ宙返り伸身ひねらず腋毛自慢」
「土下座宙返り平泳ぎ会社設立先方抱え込み勤務先モロッコ性転換未遂ひねり腋毛自慢」
「お前らマルコにも気を使えよ。もっと短くまとめてやれ」
「腋毛自慢」「腋毛自慢」「腋毛自慢だな」「腋毛自慢で」
本日のアクロバットは腋毛自慢に華麗に決定しました。

----------【空中ブランコは寄せては返す】----------
道化師の宣伝効果もあってか観客は超満員の中サーカスは開園しました。
つなわたりに一輪車にナイフ投げ、演目は順調に進んでいきます。
そしてついに、目玉の空中ブランコです。
ルーはブランコに足をひっかけ逆さになりました。
そして布を取り出し……なんと! 目隠しをしてしまいました!
超大技! 目隠し空中ブランコです!
向こうから飛んでくる相方を上手く捕まえることができるのでしょうか。
なーんて、できちゃうんです。だってルーとヘレンは恋人同士。息はピッタリ。
ガシッ
ルーは捕まえた相手の薬指に指輪をはめました。
あぁ、なんてロマンティック。空中ブランコをしながらのプロポーズだなんて。
「どんなに離れても僕はキミの元へ必ず戻ってきます。このブランコのように」
愛の告白に相方はメロメロになりました。
「ルーちゃんったら……こんな大勢の前で恥ずかしいわん」
野太い声。あれれれ?
なんと、ヘレンだと思っていた相方は男色家のゴーズだったのです。
目隠しがあだになり、プロポーズの相手を間違えてしまいました。
「わははは! 最高だ! ざまぁーみろルー!」
本番前、ナイフ投げ師はヘレンに腐ったリンゴを食べさせていたのです。
突然腹痛になったヘレンの代わりがよりによってゴーズとは……。
相手を間違えたと気づいたルーの頭は、ブランコのようにユラユラ揺れていたことでしょうね。
かわいそうなルー。

----------【猛獣は火の輪をくぐる】----------
「さぁさぁ皆様、突然ですが穴をご想像くださいませ。
 そう、穴です。あったら入りたい穴です。アナタがスッポリ入る穴です。
 ご想像いただいた穴はどんな形ですか? それはもしかして……"円"じゃありませんか?
 当たりでしょう? 私は皆様の頭の中をすこし覗くことができるのです。なーんてうそ。
 穴といえば円。相場が決まっているのです。三角や四角の穴なんて入りにくいでしょう?
 自然界には直線が存在しません。三角や四角は人工的なのです。"不自然"なのです。
 それではこれから皆様には百獣の王ライオンによる火の輪くぐりをご覧いただきましょう!
 どうして火の輪かって? だって三角や四角なんてくぐりにくいでしょう?
 自然界の頂点に君臨するライオンは、自然な円をくぐるのです。
 ご登場いただきましょう! 百獣の王、リオくーーーーん!」
勇ましく登場したリオくんは威厳たっぷりな雄叫びをあげました。
「ギャーーーーーーオ!!!」
緊張で声が裏返ってしまいました。
穴があったら入りたいリオくんでした。

----------【巨人は火を噴く】----------
続いての演目は大男による火噴きです。
ゆうに2Mを越す大男に大興奮の少年。
スゴイ! 大きなおとこの人だ! みてよママ!
火のついた棒だ! どうするんだろう? ねぇママ!
うわぁ口に入れた! 口まで大きいや! すごいねママ!
ぶおおお! 火を噴いた! タバスコ飲んでもああはならないよねママ!
すごいな! すごいな! ぼくもあんなふうになれるかな! 大きいな! 大きいな!
「でも彼の棒は小さいのよ」
大男は顔から火を噴きました。

----------【フィナーレは盛大に】----------
大男が顔から噴いた火は予想以上に大きく、テントの一部を燃やしてしまいました。
そんなこととは露知らず、裏ではヘレンとゴーズがルーを追い掛け回します。
「ルーちゃんったら、どうして逃げるのよーん。ワタシのこと ス キ なんでしょー」
「ルー! どういうことよ! 私のこと愛してるって言ったくせにぃ!」
「誤解だヘレン! ゴーズ! とにかく話を聞いてくれぇーーー!」
必死で逃げるルーはリオくんの尻尾を踏んでしまいました。
ビックリするリオくん! 何も考えずに走り出してしまいました。
その先には火の輪……といえなくもない燃えるテントの入り口がありました。
リオくんは習性で燃え盛る入り口を華麗にくぐりぬけ
その先にある巨木に激突。そのままノビてしまいました。
テント内では迅速な消火活動が行われ幸いケガ人なし。テントの一部が燃えただけでした。
しかし、消火活動をしていたマルコの自慢の腋毛が全て燃えてしまいました。
彼の出番はこのあとだったのに……マルコはその場に崩れ落ちてしまいました。
赤面する大男。
追いかけっこのルーとヘレンとゴーズ。
外で失神するリオくん。
うなだれるマルコ。
観客は大笑い。いいぞーもっとやれー。ヤジが飛ぶ、歓声が聴こえる、笑顔が咲く。
それを見ていた道化師は、自分もこのくらい人を笑わせてみたいなと笑いながら思いました。

外では赤い風船が一つゆっくりゆっくり空へ吸い込まれていきます。
リオくんの激突の衝撃で、ナイフで貼りつけられていた風船が解放されたのです。
それは誰に見られるでもなく、雲の中へ消えていきました。

----------【サーカスは終わらない】----------
ハプニングはあったけれど、公演は大成功のまま閉幕。
テントを畳んで、サーカス団は次の町へ出発します。
道化師は風船を一つ、空へ放ちました。
その行方を見守ることなく、仲間と一緒に歩き出します。
とびっきりの笑顔をたずさえて。
サーカス団がやってきた。
サーカス団がやってきた。

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